大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)326 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人植月浅雄上告趣意書は「原審判決は憲法に違反した失当があると信じます

原審の判決は被告に懲役十月の実刑を科して居るが一件記録で明らかであるように

本件は初犯であり、かつ三年以下の懲役刑の言渡を為すべき場合である。そして被

害者に対しては被害金全部即被害者の社交喫茶店Aには金参千五百円を同B洋服店

には金参百弐拾五円を支払つて居る。而して其被害者への弁償は生活に窮して居る

被告の実父と実母とが其額を分担して調金し支払つたものである。この挙たるや我

が子を愛するが故にであり本件の裁判で我が子に刑の執行猶予の言渡を得たき念願

に外ならぬのである。さればこれ等の事情は刑法第二十五条の情状に該るものであ

ると弁護人は相信ずるに原審ではこれ等の情状を無視して本件について刑の執行猶

予の言渡を為されなかつたのは刑法の適用を誤り引いて憲法上被告人に与へられた

公平正当な裁判を受くべき権利を侵犯した判決であると弁護人は相信ずる次第で御

庁に於て御破毀賜るべきものと存ずるものです」と云うのであるが

刑の執行猶予の言渡をするかどうかは専ら原審の裁量の範囲に属するところであ

るから、被告人に対し刑の執行猶予の言渡をしなかつた原判決を目して所論のよう

に公平正当な裁判を受くべき被告人の憲法上の権利を侵した違憲の裁判と云うこと

はできない。このことは既に当裁判所大法廷が屡々判例として示した通りである。

(昭和二十三年五月二十六日言渡同年(れ)第七〇号事件判決昭和二十二年六月九

日言渡昭和二十二年(れ)第一三八号事件判決)結局論旨は原審の刑の量定を非難

するに他ならないから日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法

律第十三条第二項の規定によつて上告適法の理由とならない。論旨は理由がない。

よつて上告は理由がないから刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決す

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る。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 福尾彌太郎関与

昭和二三年六月二六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 垂

裁判官 藤 田 八 郎

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